受験指導をしている立場上
どうしても生徒の英文和訳や英作文を見る機会が多々ある。
そのときにほぼ大抵の生徒は
「この単語はこの訳し方」
と一方的な意味の結び付けをしているため
おかしな訳し方になったり、訳せない状況に陥っている。
これは何も学生だけではない。
日本人全体にいえることだ。
では、以下の英文を訳してみてもらいたい。
(全文小文字表記)
one must have been cold to appreciate warmth.
まあ推測だが
この例文を見たほぼ99%は最初のoneで躓いたり
「1」というような訳し方をして「えー!?」「これでいいの?」と自問自答したり
混乱したのではあるまいか。(多分後者のほうが多いとは思う)
英文自体は短く、複雑なものではないが、すんなり訳せた人はまずいないと思う。
上記例文のoneは主語だ。
だからoneの意味を 1 という主語や名詞としての訳し方しか覚えていない人、
「単一的1方向」判断の人は主語の段階で転落確定。
one には「私」「我」を示す意味もあり、この例文の主語は「私」となる。(古書に良く出てくる。勿論、youの代替表現の「汝」にあたる表現も同様にある)
オレは70年代の英英辞典を愛用しており
そこには明記されているが、現代の英語の辞書には記載されているのか定かではないが、興味ある人は調べてほしい。
まあone=私、我というのは、受験の世界ではまず出てこない。
TOEICでもまず出ない。
シェイクスピアの詩では稀に見かけることがある。
興味ある人は探ってもらいたい。
訳はこうなる。
「我は暖かみの価値を知るために寒気を感じたに違いない」
学生はこういうだろう。
「そんなの試験に出ないよ」
「受験に関係ないよ」
確かにそうなんだ。言っていることは間違っては無い。
確かにこういう古語表現は出ない。
しかしだ。
以前にも記事で指摘したと思うが
こういう表現を知ることは
言語の醍醐味なのだよ。
そこを理解できるかどうかだ。
その理解を知る(得る)ことに
受験は無関係だ。
日本語でも 「思う」の他の表現として
「慮る」とか「睨む」とか「見做す」とかあるのと同じ。
色々な置き換えというか、言いかえを覚えるのは言語学習の醍醐味のひとつでもある。
受験生に限らず、オレはよく学生全体に言っているのだが
一方的な解釈(意味)の結びつけはせず
幅広く意味を覚えよ。
というもの。
広く浅く ではなく 広く深く だ。
なかなか難しいが、学習範囲がどうしても狭い学生でもそこそこいける。
広く浅くは
交友関係を例に出すと
知っている人は多いが、ただ、顔見知りなだけで
信頼できる人がいない(頼れる人がいない)
要するに
知ってる単語は多いが、ただ知っているだけで
深くその意味を把握してはいない
のと同じことだよ。
仮に、オレの説明・指摘を聞いて
「言語って奥が深いな」「楽しいもんだな」と思えれば
その人には、言語学習の道(職業)に進んでもらいたい。言語学者とか通訳とか。
言語のプロの道だ。楽しいと思える人は是非言語で飯を食う道に進んでもらいたい。
さっき、オレが「興味ある人は調べてみてもらいたい」と何度か書いたが、本当に辞書を使って調べた人、何人いるかな? 本当に辞書を物置から引っ張り出して調べた人、今からでも遅くないから勉強して言語の道に来てもらいたい。(ネット調査をしたやつは論外。oneの「我」の意味がネットごときで出てるわけねーだろ、ハゲ。仮に出ていたとしても、ネットで調査の事を済まそうとする愚か者に優秀な奴はいない)